Theaster Gates | A CLAY SERMON
本書は、アメリカ人アーティスト Theaster Gates による作品集であり、2021年から2022年にかけて Whitechapel Gallery で開催された展覧会に伴い刊行された一冊である。2005年以降の活動を中心に、粘土を用いた作品や共同プロジェクト、大規模インスタレーションを通して、ゲイツの分野横断的な実践を包括的に紹介している。
都市計画や陶芸のバックグラウンドを持つゲイツは、素材としての「粘土」を起点に、労働、歴史、人種、コミュニティ形成といった社会的テーマを探究してきた。本書では、陶芸を単なる工芸ではなく、文化や記憶を継承する行為として捉えながら、「ブラックスペース」や資本循環の問題をめぐる思考を展開している。
また、本書はシリーズ「A Question of Clay」の一環として位置づけられ、制作過程やインスタレーションビュー、新作映像《A Clay Sermon》の記録なども収録。ナイジェリア人詩人 Ben Okri による詩、アーティスト Edmund de Waal との対話、人文学・キュレーション分野の論考も掲載され、多角的な視点から作品世界を読み解く構成となっている。
さらに、本プロジェクトは Victoria and Albert Museum や White Cube を経て、建築家 David Adjaye 率いる Adjaye Associates と協働した《Black Chapel》へと展開。素材、建築、コミュニティを横断しながら、現代社会における文化とアイデンティティの在り方を問い直す、批評性に富んだ一冊となっている。
WHITECHAPEL GALLERY / ハードカバー / 216ページ / 245 x 285 mm / 9780854882960 / 2022年