a+u 2022年9月号 特集:グラフトン・アーキテクツ
『a+u』9月号はグラフトン・アーキテクツを特集する。グラフトンはダブリン出身の建築家イヴォンヌ・ファレルとシェリー・マクナマラによって1978年当地に設立される。地形、街の暮らし、文学、言葉、そして人間、これらすべてが奥深くで互いに繋がったこの地にルーツをもち、グラフトンのつくる建築は、文芸評論家フィンタン・オトゥールに言わせれば「地中から引き抜かれた建築」であり、その「場所の様々な時間を共存させ、物理的・文化的積層の結節点」として地上に顕れる。2002年コンペティションで獲得したルイージ・ボッコーニ大学の新研究棟および講堂の設計を皮切りに、グラフトンは大規模公共建築を次々に手掛け、ジョージ王朝時代のダブリンの街のみならず、リマ、ミラノ、トゥルーズなどの都市において、それぞれの街並みを建築内部にとり込んでみせる。グラフトンの形態・構造・素材への向き合い方が紛れもない地質学的力をもつ一方で、その建物は人間の尺度に身を委ね、極めて親密で心地のよい空間を実現する。本特集では初期の住宅作品から最新作まで全25作品を掲載。2本の寄稿論考に加え、グラフトンのほぼ半世紀にわたるキャリアにおける肝要時点を示し、その後の設計指針ともなる2本のテキスト-27年前にコンペティション提言として書かれた人間の生息地と環境についての寓話と、2018年のヴェネツィア建築ビエンナーレにて同僚たちへの問いかけとして書かれたマニフェスト-とともに紹介する。 (編)
エッセイ:
フリースペース(2018)
グラフトン・アーキテクツ
トゥルーズ経済学院
ESBダブリン本社屋
エッセイ:
「層の堆積」:ダブリンとトゥルーズの都市形態を構成する
ヒュー・キャンベル
ダブリン市立図書館、パーネル・スクエア文化センター
マーシャル・ビルディング、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス
タウンハウス、キングストン大学
国立高等電気通信学校パリ=サクレ校
リマ工科大学
ルイージ・ボッコーニ大学
エッセイ:
大地に届いた稲妻
フィンタン・オトゥール
リムリック大学医学部・学生寮
メリオン・ロウ、財務局庁舎
ソルスティス・アート・センター
アイルランド都市研究所、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン
バリナスローの聖母マリア中等学校
ダンシャフリン市市役所
機械製造工学科、トリニティ・カレッジ・ダブリン
リムリック大学学長の家
ロング・ハウス
デンジル通りの映写室とアパートメント
エッセイ:
捨てられたカタツムリの殻(1995)
グラフトン・アーキテクツ
エッセイ:
ガンドンとグラフトンの間で
エドワード・マクパーランド
ダブリン港、製粉工場とリフィー・トルカ地区/アンソニー・ティンバーランド・デザイン・マテリアル・イノヴェーション・センター/クロフォード・アート・ギャラリー/公州大学校
「センシング・スペース」/「新たな地形としての建築」2012年ヴェネチア・ビエンナーレ「コモン・グラウンド」/「フリースペース」2018年ヴェネチア・ビエンナーレ