スイス系イタリア人のパスカル・グレコは、スイス・ジュネーヴを拠点に活動する独学の映画監督、エディター、そして写真家である。
2000年代初頭、彼はモデルとしてファッション業界で活動を始め、ニューヨークと東京を拠点にファッションイベントやショーの企画にも携わった。

2020年3月、彼は写真集『No Cliché』から続くプロジェクトのためにアイスランドへの旅を計画したが、渡航制限により出発を断念せざるを得なかった。
そのロックダウンの最中に、彼はアイスランドの風景を想起させるビデオゲーム『Death Stranding』に出会い、ゲーム内の世界を撮影し始める。
この予測できなかった出来事が、彼のプロジェクトに新たな次元をもたらした。

ゲームという制約された環境を実験の舞台とし、彼はユーモラスでありながら几帳面なプロセスを通じて、デジタル時代における写真表現の新たな可能性を探っている。

Chambre Noire / 84ページ / ハードカバー / 220 x 160 mm / 2021年