100 Jahre Gegenwart Austellungen durch die Zeit
本書は、ドイツ・エッセンの Museum Folkwang における100年にわたる展覧会の歴史を辿るアーカイブブックである。20世紀初頭から現在までに開催された重要な展覧会を通して、美術史だけでなく、ドイツおよびヨーロッパの社会・文化史を重層的に映し出している。
30の展覧会プロジェクトを軸に、展示風景、エッセイ、インタビューを交えながら構成されており、とりわけ写真表現の発展に焦点を当てた内容が特徴的。1929年の「Fotografie der Gegenwart」展をはじめ、アルベルト・レンガー=パッチュやマックス・ブルヒャルツらによる写真の実践、さらに1950年代以降に Otto Steinert が築いた革新的な写真展の歴史が丁寧に紹介されている。
Steinertによる「100 Jahre Photographie 1839–1939」や「Steinert und Schüler」などの展覧会は、写真を単なる記録媒体ではなく芸術として位置づける重要な転換点となり、本書ではその思想と展示手法の変遷を豊富な図版と資料から読み解くことができる。また、Museum Folkwang が築いてきた写真コレクションの形成過程にも触れられている。
320ページにわたる充実した内容に加え、Stefan Claudius と Kathrin Roussel による優れたタイポグラフィ設計や、紙の使い分けによる構成など、造本そのものも高い完成度を誇る。展覧会という形式を通して、美術館がどのように時代と関わり、視覚文化を更新してきたのかを示す、資料性と批評性を兼ね備えた一冊。
Steidl / 320 ページ / ハードカバー / 221 x 298 mm / 9783969990445 / 2022年