モロッコ生まれのフランス人アーティスト、ニコラ・L（Nicola L.）による先駆的な活動を初めて包括的に紹介した作品集。
作者は、アイデンティティ、ジェンダー、身体に対して問いを持つことが一般化されるより以前からそのような考えに挑戦してきた。
1965年に、パリの芸術アカデミーに通いながらもほとんどの絵画作品を焼却し、衣装として着られる壁掛けキャンバス、腰掛けにもなる彫刻、一度に多くの人が着られるようにデザインされたコート、過激な政治家の映画を制作するなど、より人々に直接関わる形式へと移行した。
地中海西部に位置するイビサ島の自由奔放なコミュニティ、ニューヨークのカウンターカルチャー、そして一時はレバノンの刑務所にまで、物理的にも芸術的にも居場所を見つけ、時代と場所に定着せず、世界中を旅して回った。

304ページにわたり、作者の作品を包括的にまとめたカタログレゾネと、未公開の手記を集めたファンジンが絡み合うような構成となっている。
その手記の中では、さまざまな人物の逸話を差し挟みながら、驚くべき人生が語られている。
作品の図版、アーカイブ写真、エッセイ、インタビュー、日記などを収録した、作者のすべて集めた一冊となっている。

Apartamento Publishing S.L./ 304ページ / ハードカバー / 220 x 290 mm / 9788409474363 / 2023年