a+u 2022年12月号 特集:アーティストとエンジニア
『a+u』12月号はアーティストとエンジニアの協働を特集する。本特集では、エンジニアがプログラムや法規などといった従来の建築的制約を受けずにアーティストと協働を行うことで見出される構造・形態・素材の可能性をとり上げる。ここに紹介した20の作品は、クリストとジャンヌ=クロードによる60年来の構想を最新技術で実現させた凱旋門のラッピングから、リチャード・セラの長大な彫刻やドナルド・ジャッドによる野心的なコンクリート・シェル構造まで、素材やスケール面で様々である。掲載作品の多くは-鉄とコンクリートからなるパブロ・ピカソによる二点の記念碑的彫刻やジャネット・エシェルマンによる軽量ネット作品など-周囲の建物とともにデザインされ、都市を定義する構築環境の一端をなしている。ここで、エンジニアリングは美学を追求するある一つの芸術・人文的探求として顕れる。そしてアーティストのスケッチや記憶を手がかりに行われる対話はエンジニアリングとアートが並立つ証である。こうした、協働的で、しばし個人的な関係性は、遂行だけに留まらないエンジニアの解釈や創造性を引きだし、ゲスト・エディターのギイ・ノーデンセンが言うように「プロジェクトそのものを変える可能性のあるプロセスをかたちづくる」。本特集では詳細図や制作風景をとらえた写真を掲載し、エンジニア・アーティスト・批評家らによる8本の論考とともに、直感と合理が調和し重ね合わさっていくさまを紹介する。 (編)
エッセイ:アーティスト < > エンジニア
ギイ・ノーデンセン
《包まれた凱旋門》
クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード/マイク・シュライヒ
エッセイ:《包まれた凱旋門》──構造
マイク・シュライヒ、アン・バーグハーツ
《ロンドン・マスタバ》/《マスタバ》
クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード/マイク・シュライヒ
エッセイ:《マスタバ》のフィージブル・スタディー
平岩良之
《エブリウェア・ザ・エッジズ(ETE)》
レベッカ・ラジエル、ジャネット・エシェルマン/
シグリッド・アドリアーンセン、ビル・ベイカー
《ドリーム・キャッチャー》
ジャネット・エシェルマン/マーク・サルキシャン(SOM)
エッセイ:創造的緊張:振付師とエンジニアのイノヴェーション
シグリッド・アドリアーンセン
エッセイ:創造的建設:アーティストとエンジニアのコラボレーション
マーク・サルキシャン、ビル・ベイカー、アレサンドロ・ベギーニ
ベンジャミン・フランクリン・メモリアル
イサム・ノグチ/ポール・ワイドリンガー
《ホーレス・E・ドッジ・ファウンテン》
イサム・ノグチ、ショウジ・サダオ/ポール・ワイドリンガー、マティス・レヴィ
《イッデフィヨルドの生き物》
マーティン・ピューライヤー/イーカー・デザイン
ストーム・キング・アート・センターの煉瓦彫刻
マーティン・ピューライヤー/
レベッカ・バントロック(シルマン)、ジョン・オクセンドルフ
エッセイ:煉瓦彫刻のエンジニアリング
ジョン・オクセンドルフ
エッセイ:都市の風景:破壊の地帯、逆さまの梁、湿地、ファサード
ウォルター・フッド
《7》
リチャード・セラ/レスリー・ロバートソン
シカゴ・ピカソ
パブロ・ピカソ/ファズール・カーン、ジョセフ・コラコ(SOM)
《シルヴェットの胸像》
パブロ・ピカソ、カール・ネシャー/ワイスコフ&ピックワース
《フリー・ライド・ホーム》/《オオサカ》
ケネス・スネルソン
《デイズ・エンド》
デイヴィッド・ハモンズ/ギイ・ノーデンセン、ジーナ・モロー
コンクリート・ビルディング
ドナルド・ジャッド/ロバート・カーク
三鷹天命反転住宅 イン・メモリー・オブ・ヘレン・ケラー
荒川修作+マドリン・ギンズ/安井建築設計事務所
《グラヴィティ・イズ・ア・フォース・トゥ・ビー・レコンド・ウィズ》
イニゴ・マングラーノ=オヴァーレ/ビル・ベイカー(SOM)
ルツェルン・フェスティバル・アーク・ノヴァ
アニッシュ・カプーア、磯崎新/太陽工業
《PSADシンセティック・デザート》
ダグ・ホイーラー
エッセイ:聴野の極限で:ダグ・ホイーラーによる半無響の没入型アートを実現に導いたアラップ社サウンドラボ
ウォーカー・ダウニー、キャロライン・A・ジョーンズ
おわりに
アダム・ワインバーグ